地域の木を使うことによって地域の森を育てる。
わが国の国土のおよそ67%が森林です。そして北から南までその地域には、豊かな森が存在しています。
しかし、用材自給率は20%に届いていません。すぐれた木材が有りながら利用されていないのが現状です。
以前は、木を伐採するとそこに植樹して山を保全してきました。しかし現在では60年、100年という長いスパンで、しかも世代をまたいで手入れをし育てることは困難な状態にあり、木を伐採したまま植樹することなく放置されている山が増えています。
山が荒廃し、森がなくなると私たちは生きていけません。わたしたち生き物は森など自然に寄生して生きていくことしかできないからです。
山には計画を持って植林し、育て、次の世代に受け継いでいくことが私たちの役割でもあります。
100年育った木は、伐採してからは200年以上持つと物の本で読んだ記憶があります。古い民家などを見るとそれがよくわかります。
地域で育った木を家作りに使うことは、その地域の森を育てることにもなるのです。
柱や梁(はり)は、現わしにして使う。
今の住宅は、ほとんど柱や梁を新建材で天井や壁の中に隠してしまっています。そのため柱などは壁の中の湿度と温度上昇によりしだいに腐朽し、木の寿命を短くしています。
木は呼吸をしています。木を現わしにして使うことによって、壁土と共に湿度を調節してくれるのです。
できるだけ柱や梁は、壁や天井の中に密閉させるのではなく、現わしにして使うようにしましょう。それにより家の寿命が伸びるとともに、住む人の健康にとってもよいと思います。
葉枯らし、天然乾燥材を使おう。
現在、建築に使う、木材には人工乾燥材と、天然乾燥材があります。
人工乾燥材は、木材をある一定時間乾燥機に入れ、蒸気などで乾燥させる方法です。特に100度以上の高温乾燥では、乾燥後木材の断面を観察すると、表面には割れがないのに、内部に放射状に割れ(内部割れ)が見られる場合があります。柱などの加工で、ほぞなどの部分に、その割れがあると構造上の欠陥となります。
また乾燥温度により木材の組織が変化して、木材の色が焼けたように黄色っぽくなります。大工がノミで穴を彫るなど加工するとわかりますが、木材には本来木材の持つねばりが全くありません。
天然乾燥材は、伐採し、枝を付けたまま約3ヵ月位寝かせておきます。幹に残っている水分等を葉が吸収しますが、いずれ葉は枯れてきます(葉枯らし)。その後製材し、含水率が25%位になるまで、1年以上保管します。特に天然乾燥の杉材は木材本来の赤身と白太がピンク掛かった美しい色を残します。
本来木材は自然からのめぐみです。機械などで人工的に処理するのは無理が生じます。
木材は、天然乾燥材を使うことを強くおすすめします。
土壁と使う。
木は土壁と共に呼吸をします、湿度の高い日には水分を吸収してくれます。
竹を縦横に編んでわら縄でしっかり固定して分厚く塗った土壁は防湿効果と共に冬はとてもあたたかです。
産業廃棄物としてごみにもなりません。当然のことですがそのまま土に帰るのです。
左官仕上げの伝統的なしっくい壁、土壁のよさをみなさんに実感してほしいと思います。
左官仕上げの壁を見ると、職人の鏝(こて)むらの中にその手仕事の味わいを感じ取ることができます。
雑 記。
先日、80年程経った古い民家を解体した際に、土壁を解体後、壁に使われていた小舞竹が置いてありました。驚いたことに竹は一部青い色が残っていて(右の写真)、わら縄も縄の形状がしっかり残っています。今回と同じような小舞竹を見たのは2度目です。とても80年経過したとは思えないほど間竹のねばり強さもそのままで、感動的でした。
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